キエフで考える(1)

スラヴ文化の初の結晶地で、キエフ・ルーシの中心地として栄えたウクライナの古都・キエフを訪れている。

昨年のオレンジ・レボルーションで一躍有名になったこの国は、実は、ソ連時代のプラスの遺産の一つとして、予想外に強固なインフラを維持している。独立直後には深刻なモノ不足に悩まされ、治安も悪化するなど混乱期を迎えたが、今では経済も成長に転じ、物流・物価はともに安定して市民は比較的安定した生活を送っている。キエフ・ルーシ時代の古寺・ソフィアも、比較的新しいスラヴ正教の聖地・ラブラも復旧し、文化宗教の都としての側面も取り戻している。

昨年の革命により、EU接近と、ロシアと一定の距離を置く政策を取るユーシェンコが大統領に就任。この国の政治的メッセージは明示され、国際政治における一定の役割も果たした。ウクライナの動きは、先年のグルジアから始まった一連の民主化の流れを加速し、複数の旧ソ連諸国に波及。多少の揺り戻しはあっても、本質的には不可逆な流れを作った。次に問われるのは、この民主化が成功モデルであることの証明として、一定の経済的成果を挙げることに集約される。

そうした進化を象徴するように、同国サッカーチームは、来年のドイツワールドカップへ向け、安定した闘いぶりを発揮して激戦を勝ち抜き、早々に出場のキップを勝ち取った。12日には、当地キエフで、日本代表チームとの親善試合が行われる。チケットを入手したので、当日の模様を報告したい。